令和5年11月20日にふじのくに孤独・孤立対策プラットフォーム設立記念シンポジウムを開催しました。
孤独・孤立の問題とはいったいなにか。
私たちはどのように孤独・孤立の問題に立ち向かっていくのか。
プラットフォームのこれからを考えるキックオフイベントとなりました。シンポジウムの模様をレポートします。
困りごとを抱えたとき、周囲にSOSを求められるでしょうか。周囲の人は気づいてあげられるでしょうか。
大西さんはそう問いかけ、令和4年度「人々のつながりに関する基礎調査」の調査結果をふまえ、孤独・孤立は、ふつうに暮らしていても、誰にでも起こり得るものであることを指摘されました。
孤独・孤立は、それ自体が問題なのではなく、他の生活問題と結びついたときに、その問題を複雑化・深刻化させてしまうものであり、免疫力である「つながり」を強くすることが求められるとお話しいただきました。
それらをふまえ、孤独・孤立の背景にある複合的・重層的な課題に対応していくためには、さまざまな機関、団体、グループが連携・協力して支援していく必要があると強調します。
福祉だけでなく、領域を超えたさまざまな機関・団体が連携し、ゆるやかな官民連携のネットワークを形成し、相互作用をどれだけ作れるかが大切だと力を込めました。
孤独・孤立対策には、「個別の支援の体制づくり」「つながりを基軸とした地域づくり」の両輪が求められるとしたうえで、静岡県の特徴・特色に合わせ、既存の取組や資源を活用して試行錯誤してほしいと、エールをいただきました。
シンポジウムの後半では、「NPO・自治体による実践の成果と課題」をテーマにゲストの実践報告をお聞きし、「連携」についての理解を深めました。
「断らない相談支援」をモットーに相談事業を展開する座間市。
既存の制度に当てはめるのではなく、本人に合わせて支援を生み出す。事業が重なると、支援者も重なる。
そうして形作られた多種多様な主体のネットワーク=「チーム座間」の仲間たちとともに、どこへ相談しても支援につながり、困りごとを受け止めることができる地域づくりを目指されています。
また、アートを用いた社会参加の創出など、孤独・孤立の問題に関心を持ってもらうための「福祉」の枠にとらわれない取り組みもご紹介いただきました。
岡山県で不登校・引きこもりの子どもや若者、親のサポートを行う中山さん。
活動の中では、支援が必要な人を見つける仕組みづくりや複合的な課題を解決する仕組みづくりといった課題に直面してきたといいます。
そこで中山さんが目をつけたのは、行政と民間団体がもつ強みのちがい。それぞれの強みを整理しお互いの力を持ち寄り、官民協働で解決を図った事例をご紹介いただきました。
パネルディスカッションのコーディネーターを担っていただいた津富先生からは、困りごとを中心にして、人々が、社会資源がつながる。そんなプラットフォームへの期待を寄せていただきました。
今回のシンポジウムを出発点とし、望まない孤独・孤立に悩む人を誰一人取り残さない社会の実現に向けて、プラットフォーム構成団体のみなさまと力を合わせていきたいと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。